テンテコmyブログ

3人の子育てで、てんてこ舞いな毎日。そんな日常のアレコレを綴っています。

お金とか家庭環境とか幸せとか

幼稚園教諭一年目、当時21歳だった私は、
希望に溢れ、情熱をメラメラと燃やしていた。



なんてったって、夢を叶えて、
なりたかった幼稚園の先生になったのだから。



1年目は、年少組の担任になった。
18人の子供達。
初めての、自分の受け持つクラス。
とにかく毎日一生懸命だった。



私が働いていた園では、毎年GW明け、
家庭訪問があった。



初めての家庭訪問で、私は自分の価値観を
根本から見直すことになる。



普段の生活の中で、短期間でよそ様のお宅を
18件も訪ねることは、まず無いと思う。



まだ先生1年目の私にとっては、
もちろん家庭訪問に行くこと自体
初めての経験。



先輩の先生方から、
家庭訪問でのマナーや流れや、
具体的にどんな話をしたらいいか等、



教育を受けた上で、更にシミュレーションも
してから行く。



緊張感とワクワクが混じった家庭訪問は、
とても新鮮で貴重な経験だったなぁと、
今でも思う。



当然の事ながら、
18人の園児がいれば、
それぞれ違った18の家庭で暮らしているわけで。



生活水準も、親御さんの仕事も、
家の広さも、家庭の雰囲気も、本当にそれぞれ。



手垢ひとつつけることも憚られるような、
ピッカピカなお宅もあれば、



私が到着する直前に、一人分のスペースは
なんとか空けましたよ~みたいなお宅もあった。



頭ではわかっていたつもりでも、



それぞれの生活環境に直に触れた時、



私はなんだかとても不思議な気持ちに
なったのだ。



あぁ、日中は18人みんなで、同じひよこ組で
過ごしているけど、



家に帰れば、それぞれの生活があるんだよなぁ、と。



お金持ちなおうちもあれば、
もちろん、その逆もあるよなぁ、と。



同じひよこ組の中で、
みんなで一緒に笑ったり泣いたりしているのは、



あの子達の、一日の中の一部分なわけで、



それぞれに、それぞれの暮らしがあるんだよなぁ、と。



そんな当たり前のことを、家庭訪問をやってみて、改めて実感したのだ。



そして、それぞれの家庭の生活水準みたいなものを目の当たりにして、



「色んな家庭があって当たり前」という気持ちと同時に、なんとも言葉ではうまく表現しづらい、切なさにも似た気持ちも感じたのだ。



私は仕事を終えて帰宅後、父にその話をした。



そして父からの言葉で、私は、自分の中に潜んでいた偏見に気付いてしまった。



「うん、そうか。色んな家があるからなぁ。
それで?◯◯は、お金持ちでピカピカな家の子の方が、幸せだって思ったのか?」



父にそう聞かれて、ハッとしたのを、
私は今でも鮮明に覚えている。



そうか、、、私、無意識のうちに、
そう思ってたんだ、、。



だから、生活水準の幅を感じた時に、
切なさにも似た感情を抱いたんだ、、



気付かないうちに、お金持ちとか広くてキレイな家のほうが幸せな家庭だって、
私そう考える人間になってたんだ、、、。



お金があるとかないとか、
家が広いとか狭いとか、



そんなことで幸せが決まるはず、無いのに。



私の間違った偏見で、
少しでも勝手に可哀想に思ってしまったあの子に対して、こんな失礼な事はない。



本当に可哀想で情けないのは、
自分でも気付かないうちに、
幸せに対する価値観がものすごく浅はかに
なっていた、私自身ではないか。



21歳のあの時、自分の価値観の浅はかさに
気付いた時の衝撃を、私は忘れないと思う。



そして、あの時それに気付けて、
本当に良かった。



家庭訪問の経験と、父の言葉に感謝だなぁ。



そしてなにより、幸せっていうのは、
お金があるとかないとかじゃなくて、
自分の心が決めることだって、



ひよこ組の子ども達が教えてくれた。



どの家の子も、18人全員、
キラキラで幸せいっぱいの笑顔だったから。



あれからだいぶ年月は過ぎて、
年少組だったあの子たちも、
もう今は二十歳かぁ。



あの頃みたいに、キラキラ笑ってるかな?
それぞれの人生、幸せに生きているかな?



大人になったあの子達に思いを馳せながら、
本当の幸せな人生を歩んでいけるように、
いつまでもそっと、応援していたいと思う。