自分が漁師の嫁になったかのような錯覚に陥る話
転勤族の我が家が今暮らしているのは、
コンビニも歩いては行けないくらいの田舎町。
なんにも無い。
けど、人のあたたかさがある。
回覧板を回しにいけば、「ちょっと上がっていきな」って言って、ヤー坊とエー坊を可愛がってくれるおばあちゃん。
私達の姿を見つけては、向かいの道路からいつも大きく手を振ってくれるお店のおじちゃん。
「これ貰ったんだけど、子供達にあげて~!」と、お菓子を持ってきてくれるお隣さん。
スーパーも、ホテルも、オシャレなカフェも
無いけれど、
私は、この町を気に入っている。
漁師さんも農家さんもたくさんいて、
有り難いことに、たまにお裾分けをいただくんだけど、
中でも、驚く程豪快な漁師のおじちゃんがいる。
鮭、ワカメ、ホタテ、ウニ、鰤、カレイ、、、
「喜んでくれるのが嬉しいから」と、いつも優しい笑顔で、良くしてくれる漁師のおじちゃん。
本当にありがとうございます。
新鮮な海の幸は美味しいし、
何よりも、そのお気持ちが有り難いです。
そして、私、、、、
魚バリバリさばけるようになりましたーーー!!!
それもこれも、漁師のおじちゃんのおかげ。
はじめの頃は、魚丸々一匹もらって、
どうしたものか、、、と動揺していたが、
今はもう、
魚何匹でも、
バッチコーイ!!!状態。
いやぁ、人間、やればできるもんだ。
ネットで調べてやってみた。
YouTubeで研究してやってみた。
完全に独学だけど、見よう見まねでなんとかなるもんだ。
先日は、鱒を一匹丸々頂き、
意気揚々とさばいた私。
もう何回もさばいてるから、
自分が漁師の嫁、浜の女になったかのような
錯覚に陥ることも、一度や二度ではない。
目を覚ませ、私は公務員の嫁だ。
なぜだろうか。
魚をさばくとき、私の頭の中ではいつも、
津軽海峡冬景色と与作が交互に流れるのだ。
与作は木を切るが、
私は鱒を切る。
へいへいほー
ここに引っ越してくるまで、自分が
魚を三枚下ろしにさばけるようになるなんて、
思ってもいなかった。
スーパーで買うのは、いつも決まって切り身
だった私が、今、一人で魚をさばいている!
へいへいほー
一気に、デキる主婦になったみたいで、
嬉しくなった!
そして、たぶん私は、魚をさばけるように
なった事というより、
大人になってから、新しい事に挑戦した事。
出来るようになったことが増えた事。
久しぶりの、この達成感を味わって、
すごく嬉しくなったんだ。
これから先、もっともっと、色々な事に、
チャレンジしてみたいなぁ!
あと、切り身から調理するより、
丸々一匹を調理する方が、
やっぱり圧倒的に、命をいただいている実感が湧く。
「いただきます」の意味は、前からわかってはいたけど、
以前の自分とは、全然温度が違うのだ。
魚に限らず、
私達が口にする全てのものに、
命をいただいている感謝。
それを獲ったり、育てたりしている人への感謝。
そして、私達家族へお裾分けしてくれる
人の、優しい思いへの感謝。
魚をさばくということを通して、
新しい事に挑戦する素晴らしさと、
いただきますへの深みが増した。
学びって、どこにでもあるんだなぁ!
さぁ。今日も家族みんなで、心を込めて言おう。
「いただきます!」